昼下がりに、眠気に負けてつい「うたた寝」をしてしまう。これはどんな方でも共通してご経験があるのではないでしょうか。

ADHDの症状がある場合、活動中の様々な場面でそれが起こるという方が少なくありません。中には毎日眠気に見舞われるという方も。

しかし眠気と一言に言っても、「意識が朦朧として、体が動かせなくなる」「突然意識が落ちる」という強烈なものではありません。

うたた寝の様に「じんわり、徐々に」「体を動かせばある程度は目が覚める」というレベルのものです。

当たり前ですが、今の今まで考え込んでいたことや集中していたことが途切れたとき、それが起こります。集中が途切れやすいADHDにとってはいつでもそのきっかけがあるということになります。

では何故それが起こるのか、という原因と対策をこれからご紹介します。

1切り替えが苦手

ADHD特有の苦手なものに「場面の切り替え」があるのですが、これが起床と睡眠のサイクルを邪魔しています。

そしてこの一文が、今回の結論になります。要は寝る時に時に寝ることができないので、起きている時に眠くなるという話です。

問題なのは、これが悪化した場合。それこそ日常生活に支障が出るようなレベルのものは、「睡眠障害」と呼ばれます。

ADHD症状と併発する症状の一つに、この「睡眠障害」があります。

先ほどの強烈な眠気や、過眠、寝つき・寝起きの悪さに中途覚醒、浅眠等々。普段の生活に支障が出てしまうほど、睡眠に問題がある症状のことです。

併発する割合としては多い傾向にあり、並行して治療に当たる方も多いと聞きます。

ただ、ADHDの方、皆が皆そうではないと思いますし、睡眠障害があるからと言ってADHDかと言えばそういうことでもありません。

それだけは悪しからず。

2 眠気の原因と対策

・そもそもの話

切り替えの話は一旦置いておきます。普通、起きている時の脳は適度な興奮状態にあります。

それがADHD症状となると、本人の興味が惹かれる状況でない限り、常に低い興奮状態をキープします。

テンションが低い、という感覚が近いです。症状の中で多動や衝動がある方というのは、これを何とかフォローしようとした結果とも言われています。

肝心な所が言うことを聞かないから、違う場所を動かして脳を覚醒しようとしたということです。

・何故覚醒が低いのか

脳の神経伝達物質に関わる部分が上手く働いていない為とされています。アドレナリンや興奮を促す物質が普通の方より少なく運用されているとの見解ですが、詳しい原因までは未だ解明されていません。

・覚醒が低いとどうなるのか

覚醒が低い時は物事の認識が鈍くなります。

会話の内容や現状の把握に手間取るので、感情表現や反応に時間がかかります。なので、日常的に意識がハッキリしているという感覚は薄く、常時眠気に見舞われやすい状態ともいえます。

・睡眠に問題が起きる理由

とはいえ、四六時中眠れるかと言われれば、そういうことでもありません。

ここで切り替えの話に戻ります。先にも書きましたが、切り替えには起床と睡眠のサイクルも勿論含まれます。

ここが滞ると、夜は眠れず・朝は起きられずいうことになります。
そんな日々が続けば、徐々に睡眠の質は落ちていきます。

人間、眠らずに生きるのは非常に困難です。その眠らずの問題を、人体が最終的にどこで解決しようとするかというと、起床後の活動時間です。

ADHD症状を持つ方にとって、普段の生活が「認識が及ばないこと」だらけなのはデフォルトです。

加えて、睡眠の質が悪ければ悪いほど眠気は強くなります。体にとっては必須事項なので、脳も必死になります。

結果、眠りを優先しやすい流れに。
ADHD症状の方が眠気に見舞われやすい、というのはこういったことが理由ではと思います。

・起きている時間に眠気があるなら、何故夜になると消えるのか

人によって理由は様々です。

  • とにかく眠らなければ、というプレッシャーを感じ焦っている
  • 日中、気を張りすぎて脳が極度に疲れ、逆に目が冴えてしまった
  • 昼にうたた寝をしすぎて夜に眠るだけの体力が残っていない
  • 脳が昼と夜を間違えて認識している

等々。睡眠の影響が活動時に起きるなら、その逆も充分考えられます。ではどうするか、ということで次の対策へ。

眠気の対策

話は変わりますが、皆さんは「疲れてくると老廃物が溜まりやすくなる」という話を聞いたことはありませんか。

早めにマッサージやストレッチで流しましょう、という内容も聞いたことがあるかと思います。

・流す必要性

老廃物が体に溜まると、むくみやコリになります。

疲れが抜けない、冷えや内臓機能の低下といった症状を引き起こす原因であり、人体にとって好ましくない状況を作り出します。

そして、体と同じように脳にも老廃物が溜まります。溜まれば溜まるほど、むくみやコリと同じように脳の働きを鈍くします。

・脳の老廃物の流し方

単純に眠ることで流します。ただそれだけです。なので、眠りの質が悪いと老廃物が上手く流れ出ません。

流れ出ないとなると、脳が疲れ気味になり、鈍くなり、切り替えが思う様にいかなくなり、更に眠りにくく、といった負のスパイラルが発生します。

脳を働かせる為にも、睡眠は大事です。

・質の良い睡眠

睡眠の質を高くする為には、適度に体を温めることをオススメします。ストレッチや柔軟で体をほぐせれば、尚良いと思います。

緊張すると体は冷たく固くなりますが、リラックスしていれば温かく緩んでいます。

体の中も外も、冷えている部分は飲み物やホットタオル等でしっかり温めると、よりリラックスできる状態に繋がります。
その上で、場面切り替えが上手くいくよう準備を整えます。

・眠る準備

起床・睡眠の切り替えをスムーズに行う為には準備も必要です。多少なりとも時間をかける必要があるのは否めませんが、習慣となってしまえば短い時間で深い眠りにつくことが可能になるかと。

例えば、布団に入るタイミング。

布団に入れば眠くなるとか、横になればその内に寝られると言いますが、寝つきが悪い人にとってはあまり良い方法ではないと思います。

だったらいっそ、眠くなってから布団に入る方が断然いいです。

その他だと

  • 寝る前は刺激物を取らない
  • 二時間前には液晶画面から離れる
  • 癒し系音楽を聴く
  • アロマを焚く

といった方法ですが、こればかりは自分に合った方法を各々で見つけるしかありません。

体に覚え込ませるためには、じっくり様子を見ていくことも覚悟が必要です。自分に合ったものがすぐ見つかれば良いのですが、どれも合わないということもあり得ます。

また、活動時に眠くなった場合の対応も考えておくと安心かと思います。

ミント系のお菓子を摂取する、体を動かす、歌う。勿論、眠くなったら寝てしまうのも一つの手段ですが、あえて眠らないことで、脳に活動時ということを強く意識させるのも手です。お好みでどうぞ。

ADHD症状そのものに対する対策とも言えますが、事前準備が何より功を奏したという場面が数多くあるのではないでしょうか。気が向いた時にでも是非取り組んでほしいです。

ただ、手段をいくつかストックしておけば、状況に応じて選ぶことができます。備えあれば憂いなし、です。それでもどうにもならない、というのであれば専門医に相談するのも手です。

長くなりましたが、まとめると

  • 就寝時は深く眠る
  • その為に準備を整える
  • 活動時の眠気に対する応急処置を用意する

対策としてはこの三点です。

・ほどほどに

どんなに頑張っても、自分ではどうにもできないことが間々ある症状です。

初めから気負いして眠ろうとするのではなく「ほどほどに寝られればそれでいいや」程度の緩い感覚で就寝していければそれで良いと思います。

ただ、眠れているのかそうでないのか、自分自身では判断が難しい所です。日常生活に支障があるなら、まずは病院での検査をオススメします。

大事なことですから、焦らずゆっくり進められればと思います。