1. はじめに

ADHDの治療法はいくつかありますが、広く知られているのは、投薬と療育です。

投薬はストラテラ等の薬を飲用することで、脳内の神経伝達物質を調整していく方法。

療育は認知療法や集団での触れ合いといったサポートを受けることにより、本人のスキルに磨きをかけ、生活で必要な知識を学びます。

いずれも、症状の緩和による日常の問題を少なくしていくのが狙いですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

○投薬のメリット・デメリット

・メリット

早い段階で、自身をコントロールするための土台が作りやすくなります。それまで目立っていた症状をある程度抑え込むことで、生活の問題点が改善しやすくなります。

薬代に関しては、自立支援手帳を申請することで負担が軽くなります。

・デメリット

副作用が大きな問題点です。食欲減退や入眠に支障がある場合、ADHD症状によるものとは別の二次障害を引き起こす可能性がある為、並行して対策を考えていくこともあります。

効果を実感できるまでの期間は薬や体質により異なります。場合によっては何の変化もみられなかった、ということもあるのが投薬治療です。

○療育のメリット・デメリット

・メリット

療育センターにおいて、職員と共に訓練・交流を通じて本人の適性や症状の具体的特徴を見つけていきます。その上で、日常における問題の対処法や、社会生活で必要な知識を学んでいきます。

また、保護者を対象としたセミナーも行われているので、家族の間に理解が広がりやすいといえます。

・デメリット

本人にとって合う・合わない方法を探しながらなので、身に着くまでに時間を要します。職員や周囲との対人関係も考慮していくことになるので、センターそのものが合わないという場合もあります。

療育センターを活用する、となった場合。その殆どで対象となるのは子どもです。専門機関での成人療育は、普及が遅れているのが現状です。

ただ、生活に関する相談窓口や別の機関への紹介を行っているところもあるので、成人の場合は身近にある発達障害を対象とした支援センターへ問い合わせを行った方が確実です。

上記以外にも、生活環境の改善や食事療法といった部分まで様々あります。

これらを利用して、工夫していく。症状と向き合いながら、取り巻く状況を自他共に変えていく。その中で生活していくことが最終的になるのではないかと思います。

2. 治療は一人よりも多数で

先に挙げた療育センターでは、保護者へ向けたセミナーがあります。発達障害の知識や接し方を知ることで、家族や身近な人たちにも一緒になって考えてもらうためです。

ADHDの症状は、自分自身のコントロールが上手くいかないことで起こります。

困ったことに、上手くいっていないことに気づいていない、もしくは気づいていてもどうしていいかわからないということが多々あります。

それを改善するためには自身を振り返ることも重要ですが、家族や他者からの指摘も重要です。

自分以外の人たちからの、自分に関する情報を得ること。無意識での癖―――行動や思考、それによってどういう印象を与えるのかを知ること。そういった情報があった方が、症状改善へのプロセスが組み立てやすいです。

その為にも、理解や知識のある人たちとの間に関係を作ること、なるべく専門の機関へ相談することをオススメします。

3. ドーパミンとセロトニン

○ドーパミン

ドーパミン、という物質をご存じでしょうか?

ドーパミンというのはアドレナリンやノルアドレナリンに変わる前段階のものです。やる気、意欲や集中を高めるといったはたらきがあります。

ADHD症状が起こる脳内では、アドレナリン等の神経伝達物質が日常的に過剰吸収されています。それを外部からの刺激や摂取によって増やすことで、自分の意識を動かしやすくするというのが目的です。

では、どんな場面でドーパミンを増やすことが出来るのか。簡単です。運動・食事・趣味。様々ありますが、大体この三つで増量が可能です。

○運動―――ウォーキングなどの有酸素運動
○食事―――チロシンが摂取できるもの。
大豆・・・小豆、湯葉
魚・・・カツオ節
肉・・・鶏肉
野菜・・・タケノコ、ほうれん草
その他にチーズやアボカド等があります。
○趣味―――強い刺激をもたらさないもの

ドーパミンは、心地よい経験や楽しいことがあったときの刺激を通じても増加します。

注意しなければならないのは、本人が快楽を感じる物に対する依存を引き起こすのもこの物質です。あまりに強い快楽的な刺激を受けると、脳がそれを覚えて再び得ようとします。

それが何度も繰り返されると、依存へ繋がっていく危険性があります。

タバコやギャンブルではよくある話ですね。なので、ドーパミンだけが先行しないように、合わせてセロトニンも増やしましょう。

○セロトニン

セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンのバランスを操作し、気持ちの面を安定させてくれる働きがあります。

ドーパミンと同じく、運動や食事といった部分から増やすことが可能です。

○運動―――リズミカルなもの、息を吐く動作を意識したもの
○食事―――トリプトファンとビタミンB6によって体内で合成される
乳製品・・・チーズ、ヨーグルト
大豆・・・納豆、みそ
魚・・・カツオ節、タラコ
ナッツ・・・アーモンド、ゴマ
その他、お米などの炭水化物も合成の為の素材になります。

セロトニンもまた、増えすぎると不調の原因になります。
適度な運動と、偏りのない食事を心掛けることが大切です。

4. 習慣にする

ADHDである方々の多くが、習慣や継続といったものが苦手分野です。理由の一つとして、衝動のコントロールが極端であるという点があります。

例えば、計画を立ててもその時々の感情に左右されてしまう、或は結果が出るまで待つことができないといった部分から、中断する確率が高い。その反面、思い立ったら即行動するという利点もあります。

車に置き換えると、急発進か急停車かのどちらかで行動しているようなものです。良いか悪いかは別として、これのおかげで、なかなか長続きしないという特徴があります。

ADHDの改善に当たって、この部分は非常にネックです。

それを解決するには、とにかく改善へのモチベーションを保ち続けることがポイントです。

・小まめに目標を立てていく
・できれば自分以外の人に成果を見てもらう
・目で見て確認できるようにする

等々。

自分に合った方法は自分で見つけていくしかありません。トライ&エラーの繰り返しか、運が良ければ一発で見つけられます。

兎にも角にも、習慣になるまでは困難な道のりだと覚悟を決めておいた方が良いと思います。

5. おわりに

どのような方法を選んだとしても、肝心なのは自分がどうなりたいのか、その為に何が必要なのかを探ることです。

最終的にどうなりたいのか、というのは時間が経てば変化します。漠然としたものからより具体的なものへ、または当初と違う方向へ。それは各自の自由です。

治療を経て、自分をコントロールした上で、自分で決めることができた未来へ繋がることを願っています。